居住施設

夕日寺の家

竣工 2013年 11月
分類 居住施設
所在地 石川県金沢市東長江町
規模 木造 地上2階

1・2歳児を対象とした親子で子育てサークルを行う子育て支援施設とその施設を運営する施主の住宅の計画である。
計画地は緑豊かな里山の景観が拡がる好立地であり、この風景をいかに建築に生かせるか、また景観に馴染ませるかが設計の大きな主題となった。
敷地は分筆されており、道路に対して手前側が子育て支援施設の敷地であり、南側に間口が広い旗竿状の敷地が住宅の敷地となる。
住宅は採光条件がよく、また里山の景観を最大限利用できるように客間、LDK、主寝室など主諸室を南側に並べ、間口15mに及ぶ縁側テラスを設け、南側に開けた計画とする。
子育て支援施設は里山に馴染む建築として、また子ども達にとっては初めての家ではない建物を利用する場として、いわゆる箱型の施設ではなく、馴染みの持てる家型の大きな屋根のある建築であるべきだと考えた。
平面計画は、大きな多目的ホールと小さな事務室・WCがあるシンプルなプログラムであり、敷地奥にある住宅から見える景観を阻害しないように、いかに建物を配置するかまたいかに屋根をかけるかのスタディを重ねた。
変則的ではあるが三角形の平面形状として、住宅側に対して軒が低く、多目的ホールの中央部に天井高を確保する位置に棟を設けた屋根を架ける計画とした。
多目的ホールは3辺に開口部を設け、採光及び通風のよい環境とし、一辺は園庭に開けた刷き出しの窓としている。
また、上部は鉄骨の屋根垂木を現しとし、屋根の形を内部にも表現し、リズミカルで活動的な空間構成としている。
この子育て支援施設が、子どもたちの社会と通じるはじめの一歩として、楽しく、馴染み深い建築になることを望む。