居住施設

平和町の家 M邸

竣工 2005年 1月
分類 居住施設
規模 鉄骨造 地上3階
受賞 第35回いしかわインテリアデザイン賞 北國新聞社社長賞

よくあることだと思うが、施主は土地購入の関係等で住宅メーカーのプラン提示を受けており大よその平面イメージが 固まった状態での設計依頼であった。建物規模は敷地の広さと必要諸室の関係から3階建てとなり、 また平面としても駐車場+LDK+3室のたいへんシンプルかつ合理的で、そうにしかなりようがない素直なものであった。
設計にあたって、まずこれらの前提を改めて抜本的に見直す必要はなさそうに感じられた。

一般的に平面計画は検討にたいへん時間を費やして行う部分ではあるが、この住宅ではその時間を別の検討にあてている。 LDK+nRという括られ方で規定される生活像とは違ったやり方での住宅を模索したいという思いもあった。 平面が大よそ確定した上で、何をどのように検討するのか? 行き着くところを簡単に言えば、いかに窓をつくるかである。 少し広く言えば内外のスペースのつなぎ方をどう作るかである。
設計のほとんどの時間が、隣接する公園との関係、道路との関係、諸室間の関係、自然環境との関わり方、 視線のとり方等、スペースとスペースがつながる部分のあり方の検討に費やされた。 自由なつなぎ方を保証するために、構造は木造から鉄骨造に変更している。ある場所は大きく開らかれ、 ある場所は意図的に閉じられ、それぞれの関係がそれぞれの場所に固有なあり方で作られる。  室内側も建具で開けたり閉じたり、伝統的住宅の襖障子による仕切られ方を立体的に積み上げたようになっている。
時には開放的にテラスで語らい、時にはどっぷりと趣味に没頭したり、気分に合わせて居場所を選ぶ。 この住宅にはそのように、場所の機能に捉われない(LDK+nRではない)いろんな性格の居場所がある。