交通関連施設

小松駅高架下 観光交流センター「Komatsu九(コマツナイン)」D棟

分類 交通関連施設
所在地 小松市土井原町
備考 月刊「近代建築」2023年12月号掲載

-はじめに- Komatsu九(コマツナイン)とは
・Komatsu九とはひと・モノ・情報の交流拠点として、観光案内やカフェ、ショップ、ワークラウンジを併設し、9つのコンセプトで地域の魅力を発信する施設です。
・Komatsu九は4つのエリアから構成されており、4つのエリアのうちの1つ「GALLERY&EVENT AREA(D棟)」の設計・監理を担当しました。

-コンセプト-『古代から現代まで紡がれた小松のものづくり ー広域交流の拠点ー』
・小松の歴史・文化を紡いできた多種多様なものづくりにフォーカスを当て、小松を発信してゆきます。さらに、広域との連関を示し小松が広い範囲で他の地域と密接な関係があることを語ります。
・様々な人が行き交う小松の拠点となる場所であり、小松に存在する様々な観光資源や文化等を知ってもらう「きっかけ」を作る場として3つのゾーニング計画としました。

-計画-
①埋蔵文化財ゾーン

・今から約2300年前、弥生時代の北陸地方を代表する大規模環濠集落である「八日市地方遺跡」が存在しました。
・小松駅観光交流センター「Komatsu九(コマツナイン)」D棟は、展示紹介する八日市地方(ようかいちじかた)遺跡が実際に存在し、発掘調査を行った場所にあたります。
・地中からのメッセージをよみとき、現在の小松のものづくりの連関を展示し、 古代から現代まで紡がれた「小松のものづくりと交流」の源流を分かりやすく伝える展示空間としました。
・JR駅構内では、「小松式土器」をはじめ200点以上の出土品を展示するといった、全国初の試みを実現するために、物量感・集積量を活かした展示空間となるよう展示棚をデザインしました。
・4つの棟を繋ぐように動線が計画されており、施設内で楽しめるだけでなく、本来、施設裏側にあたる外側も正面ととらえ、外部・内部両面に表現可能な展示構成としました。
・小松市全域のゲートウェイとなるべく、日本遺産『珠玉と歩む物語』小松を紹介します。観光交流ゾーン・GEMBAモノヅクリエキスポに繋げます。


②観光交流ゾーン
・55型4面マルチモニターを設置し、小松市内の九谷焼や繊維、石材の工場等を見学・体験ができる「GEMBAモノヅクリエキスポ」の発信など、多様な映像表現ができるようにしました。
・GEMBAに触れるハブとして機能する空間として位置づけます。
・また大人数でのイベント、時にはeスポーツなどにも対応できるよう、140インチ相当の大型LEDビジョンを導入しました。
・LEDビジョンは、モニターの約5倍の輝度をもち、ベゼルがないこと、複数画面をレイアウトできることを含め、自由度の高い使い方ができます。
・140インチのLEDビジョンもレンタル可能とすることで、使い手が刺激され新たなアクティビティが生まれる可能性を秘めています。
・観光交流ゾーンは曲面のホワイトウォールを用いて、未来を表現しており、埋蔵文化エリアと対比的に表現をしています。
・パンフレット・工芸品展示棚は、2300年続く小松市のものづくりが、過去とつながっていること、さらに将来にもつながることに願いを込めたデザインとしています。ラインを強調しアクセントカラーとしてGEMBAのオレンジを選定しました。小松市の人々に根付くカラーとなることを期待します。
③ギャラリー ・市民がレンタル可能なギャラリースペースを計画しました。
・人々の行き交うハブとしての場所でモノヅクリを発信することで、より多くの人が小松市の関係人口となるように願い計画しました。
・情報を得るだけではない、市民自ら発信することができる余白がD棟には必要だと考えました。

-おわりに- 小松のひと・モノ
・情報が行き交う町の拠点となる場所。 小松に存在する様々な観光資源や文化等を知ってもらう「きっかけ」を作る場となり、 小松の町に繰り出すきっかけづくりとなることを願います。
(山﨑)

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